古書げんせん舘
label design
logotype
logomark
東京都八王子市に事務所をかまえる古書店のブランディング。過去使用してきたレッテル(値札)が切れたのに際し、レッテルのデザインとともにロゴタイプ・アイデンティティの刷新を図った。
毎年出版される多くの本が在庫として残り、処分される。そうした本の唯一残るのが古書店である。店主が「古書店は文化の砦」と語るのが印象的だった。古書店の文化的意義とその味わいをベースに、本と出会うことで得られる豊かな世界を表現すべく、少しポップで、少しスタイリッシュなニュアンスで、フォントを制作・選定。「カン」は「館」ではなく「舘」という字。認知度が低く、かつ平仮名4文字の柔らかさに比べて重く固くなってしまう一字を、字体を省略化することで、5文字の一体感をもたせた。
店名は、つげ義春の漫画「ゲンセンカン」に由来する。アイデンティティに湧きだす源泉のイメージを投影。お湯のフォルムはそのまま本のかたちにも通じ、「文化の源泉」と「良本を厳選」という2つのメッセージを意匠化している。「GSK」は「ゲンセンカン」の小文字を拾ったもの。一見すると古書店のものには見えない、遊び心のあるアイデンティティとなった。