channel0053 第6回
「畑を耕し地蔵を彫る73歳はるとさんと語るあの日この日」

 

2011年4月2日土曜日から2週間に渡って開催してきた企画展「木彫りの地蔵展 はるとはるとさん」は、連日多くの方に足を運んでいただき、盛況のうちに幕を閉じました。当初こじんまりと静かな開催を予想していたこの企画。松本経済新聞での掲載を皮切りに、信濃毎日新聞に折り込まれるタウン情報、中日新聞とさまざまなメディアに取り上げられて、毎日10人以上、多い日には20人を超える来客が殺到する催しとなりました。ふだん1日多くても2~3組が訪ねてくるだけのブックパッカーのアンテナサイトにとっては、異例の2週間でした。

最終日、木彫り地蔵の作者である渡辺治登さんを招いて、ゆるりとトークイベントを開催しました。中学生の頃からの同級生や教師時代の同僚、同級生の孫、そして20代30代の若者たちとともに語る渡辺さん。恥ずかしがりながらも、来場者とのやりとりのなかからいくつかのエピソードを語りはじめるその様子を、ぼくはとても愛しく感じます。ある町のさらにローカルな地域で、世代や価値観のちがいをそのままに、耳を傾けたり、冗談を交わしたりできる。そのことに、ぼくはまた豊かさも覚えました。予定調和的なワークショップや誰かの言葉をすべての解答に仕立て上げる講演会よりも、そんな些細なやりとりを一緒に営めることのほうに、ぼくは未来を垣間見ました。

当日の様子は、Ustreamでもライブ配信。もちろん、アーカイブを残しています。声というのは「生モノ」です。録画されてはいますが、できるだけまだ日の浅いうちにご覧いただけたら嬉しいです。そしてしばらくしてまた観て、聞いてみる。渡辺さんがぼくらの前で語ってくれた、そこにいてくれたこの時間を、皆さんの人生にもひとつの栄養素として、取り込んでもらえたなら幸いです。

 

 

PAGE TOP