Scotland #02

 

週末をHighlandsで過ごした。英国の北側に位置するScotlandは、さらに北西のHighlandsと南東のLowlandsに分かれる。“高地”と聞くと、実際の気候や風景も相まって、ル=グウィンの「西のはて年代記」を思い出す。ぼくが週末を滞在したのは、昨年ホームステイをさせてくれたFionaの両親、HarryとChrisの家。出国前、Fionaの第二子Abby誕生の速報も入り、再会と新たな家族への挨拶をすべく、列車で3時間弱の旅に出た。駅に降りると、手を振る懐かしい顔。Harryだ。緩急さまざまな小さな丘をいくつも越えて家に着くと、Fionaの出産を労い、Abby誕生を祝う女友だち(の声)で、室内はもうすでに満杯だった。こんなとき男性たちは部屋にいない。外で犬を遊ばせたり、地下の暖炉の部屋でテレビを観ていたりする。価値観や文化は異なるが、男女の性差にみる特徴は案外地続きなのかもしれない。翌朝、やっぱり朝5時に目を覚まして、一人周囲を散歩。朝食後、ソファで本を読んでいると、二度目の散歩に誘われる。かつて鉄道のあった道を歩く1時間ほどのコースに、Aberdeenで警察官として働くElaineとその夫Richard、ジャックラッセルテリアのTromie&Flynnとともに。二度の散歩で出会った住人は以下。キジの雄雌と卵、赤リス、若い鹿の兄弟(と勝手に思った)、キツツキ、数えきれないほどの野鳥、数えきれないほどの羊、数えきれないほどの牛、そしてとんでもない強風。Craigmore Millで過ごす時間は、いつもぼくの勇気を試してくる。昨年も今年も、あと1日居ようかな、と何度も言いそうになった。Aviemoreの駅舎から列車に乗り込むと、週末をHighlandsで過ごした人たちで満席に近かった。夏時間のScotland(夜8時頃はまだ明るい)の日が落ちる。しばらくすると、雨がまた強くなった。濡れた車窓に、霧が流れる。Highlandsの無骨な草原が波のように連なり、その上をいくつもの鹿の群れが走っていく。単焦点レンズについて話しかけてくるヒスパニックに説明をしながら、この旅の焦点をぼかしちゃならないぞと気を引き締めた。

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