RIO+20

 

2012年6月20日から22日までの3日間、ブラジル・リオデジャネイロにて、「国連持続可能な開発会議」、通称「RIO+20」が開催されました。それに合わせ、13日から24日の12日間に渡り、同じくリオデジャネイロにて、世界じゅうのNPO/NGOがメッセージを発信し、かつ、世界じゅうの市民がそのメッセージに直に触れることのできるイベント「Peoples Summit」が開催。その双方に日本から参加したNPO「国連生物多様性の10年市民ネットワーク」、通称「UNDB市民ネット」のツールデザインを請け負いました。

まずとりかかったのは、すべてのデザインベースとなるシンボルマークとコピー。2010年日本の愛知県名古屋で開催された「COP10」で交わされた生物多様性条約の国内での認知普及と実践がメインワークとなるUNDB市民ネットが、今回RIO+20で訴えたかったのは「2011年3月11日の原発事故は、日本における生物多様性という価値観の喪失に端を発しており、この汚点をスタート地点にしなければならない」ということ、そして「そのタイミングはもう今を逃しては後にはない」ということ。そのラディカルなメッセージと危機感を表現しつつ、ヴィジュアル的にひと目を引くよう、心掛けました。

シンボルマークは、救急を意味する赤十字のフォルムに、大小さまざまな魚貝、植物、昆虫、鳥、動物を散りばめました。制作過程で気になったのは、過去に制作された類似のデザインを調べた際、人間を中心に据えたデザインが多く見られたこと。生物多様性を訴えるデザインにもかかわらず、人間が中心に座ってしまうその無意識の罪に、自らハッとしました。このシンボルマークのなかでは、人間は他の生きものと何ら差異のない「ただの生きもの」として並べることにしました。

コピーの制作はやや難航しました。当初日本語でいくつものコピーを考え、それを英訳する手順を踏んでいましたが、日本語におけるビビットな比喩表現を、質感そのままに伝えられる英語になかなか出会えず、ネイティブの方々からアドバイスを受けながら行き着いたのがこの一文です。「社会問題が一歩前身するのにも、最低でも10年かかる」とよく言われています。今回、「生物多様性は今の段階ですでに手遅れに近い状態」という危機感が大きかったので、次の10年=RIO+30では遅い、という意味を込めました。

 

 

PAGE TOP